人の身体は
周囲の環境に反応しながら
常に自分自身を調整しています。
音。光。温度。空気。視界。
そして、人や情報から受ける刺激。
私たちが意識していないときも
身体はそれらを受け取り続けています。
INTRODUCTION
人の身体は
周囲の環境に反応しながら
常に自分自身を調整しています。
音。光。温度。空気。視界。
そして、人や情報から受ける刺激。
私たちが意識していないときも
身体はそれらを受け取り続けています。

FOREST / CITY
日本各地で、同じ人が森林と都市を歩き
景色を眺めたときの身体の反応を比べた研究があります。
森林では、都市に比べて脈拍や血圧が低く
身体を休めるときに働く副交感神経の活動が高い値を示しました。
ストレスに関わるホルモンにも違いが見られています。
| 森林での結果(都市と比較) | |
|---|---|
| 脈拍 | 低い |
| 血圧 | 低い |
| 副交感神経の活動 | 高い |
| ストレスに関わるホルモン(コルチゾール) | 低い |
Park BJ, Tsunetsugu Y, Kasetani T, Kagawa T, Miyazaki Y. The physiological effects of Shinrin-yoku (taking in the forest atmosphere or forest bathing): evidence from field experiments in 24 forests across Japan. Environmental Health and Preventive Medicine. 2010;15(1):18–26.

ALLOSTASIS
人の身体には、周囲の変化に合わせながら
自分自身を安定させようとする仕組みがあります。
この働きを「アロスタシス」と呼びます。
暑さや寒さ、音、緊張。
変化に合わせて調整することは、身体にとって必要な反応です。
一方で、その調整が繰り返され、休まる時間が少ないと
負担が身体に積み重なっていくと考えられています。
この蓄積を「アロスタティック負荷」と呼びます。
McEwen BS. Protective and damaging effects of stress mediators. New England Journal of Medicine. 1998;338(3):171–179.
RECOVERY
風を感じる。光を感じる。
視界に自然が入り、自然の音が聞こえる。
自然とつながる環境で過ごすことは
緊張した身体が落ち着きを取り戻すことにつながると言われています。
緑の多い環境で暮らす人ほど
アロスタティック負荷が低い傾向にあることも報告されています。
Ulrich RS, et al. Stress recovery during exposure to natural and urban environments. Journal of Environmental Psychology. 1991;11(3):201–230.
Alvarsson JJ, Wiens S, Nilsson ME. Stress recovery during exposure to nature sound and environmental noise. International Journal of Environmental Research and Public Health. 2010;7(3):1036–1046.
Egorov AI, et al. Vegetated land cover near residence is associated with reduced allostatic load and improved biomarkers of neuroendocrine, metabolic and immune functions. Environmental Research. 2017;158:508–521.


REPAIR
緊張が続くと、身体は目の前の変化への対応を優先します。
ほぐれると、傷を治したり身体を守ったりする働きに
力を向けやすくなります。
強いストレスの下では、傷の治りが遅くなることが報告されています。
森で過ごしたあとには、身体を守る免疫細胞の働きが
高まったという報告もあります。
Kiecolt-Glaser JK, et al. Slowing of wound healing by psychological stress. The Lancet. 1995;346(8984):1194–1196.
Li Q. Effect of forest bathing trips on human immune function. Environmental Health and Preventive Medicine. 2010;15(1):9–17.
CLARITY
集中し続けることで、注意の力は少しずつ消耗していきます。
自然の中では、その力が回復しやすいと言われています。
自然の中を歩いたあと、注意力を測るテストの成績が上がったこと
自然の中で数日過ごしたあと、創造的に考える力が高まったことが
報告されています。
Berman MG, Jonides J, Kaplan S. The cognitive benefits of interacting with nature. Psychological Science. 2008;19(12):1207–1212.
Atchley RA, Strayer DL, Atchley P. Creativity in the wild: improving creative reasoning through immersion in natural settings. PLoS ONE. 2012;7(12):e51474.

ENVIRONMENT → BODY → STATE

何を残し
何を減らし
何を取り入れるのか。
TYPE Uは
身体が日々受け取っている
環境そのものを考えます。
道路や隣家、人工物など、必要のない情報は視界から外す。空、山、光、緑。残したいものへは、視線を開く。視界に入る情報そのものを整えることを考えます。

人の体内時計は、光と暗さのリズムの影響を受けています。朝の光、夕方の光、夏と冬で変わる太陽の角度。時間と季節に合わせて、光を受け取れるように考えます。
車の音、機械の音、人の声。音は、意識していないときも身体に届いています。外からの音をやわらげ、静けさを保ちやすい空間を考えます。

空気は、呼吸のたびに身体に入ります。換気や素材を考え、呼吸しやすい空気を保ちやすい空間を考えます。
身体は、暑さや寒さに合わせて体温を保とうと働いています。断熱、日射、風の通り道から、身体が調整に追われにくい温熱環境を考えます。
自然は、光や音、空気と同じく、身体が受け取る環境のひとつです。どこに窓を開け、どこまで外を取り込み、どこで外からの刺激を遮るのか。外と内の境界から、自然との距離を考えます。

どんな環境で、何を考えますか。
身体が受け取る環境から
建築を考える。